20~30台の夫を持つ妻たちに、独自アンケート

転職経験がある夫、転職先が気になる妻

いざ転職。妻の理解を得る一番の方法とは

「子供が生まれたばかりだし」「マンションのローンはどうするの?」——転職を考えても、なかなか妻の同意が得られない夫たちが“妻バイアス”を乗り越える方法とは?20〜30代の夫を持つ妻たちの本音をアンケートで調査、さらに脳科学的にも男性より不安を覚えやすいという女性の心理を理解し、妻の心をケアするコミュニケーション方法を解説します。

キャリアアップも、やりがいも。

夫は変化が欲しい

6割の夫は転職経験あり

人生を左右する転職。結婚していれば、もはや個人ではなく夫婦の問題です。20~30代の夫を持つ妻にアンケートをとった結果、夫に転職経験があるという回答が約6割ありました(ページトップ図版参照)。内訳を見ると複数回転職したケースも多く、若い夫婦にとっても、転職はもはや決して珍しい出来事ではないという事実がうかがえます。

転職回数は1〜3回

夫が転職を思案中? 

大多数の夫婦が
「いつか転職するかも」組

もしあなたの現状の職場環境が、転職理由の上位を占めた「給料が不満足」「残業や休日出勤が多い」に当てはまるならば、将来的に転職に踏み出す可能性が高いと言えるでしょう。さらに、「将来的に夫が転職する予定はない」と断言した妻わずか26%。つまり、それ以外の4分の3の妻は、「いつか転職があるかもしれない」と考えていることになります。

転職理由は給料、残業、そして人間関係?

普段の生活では、2人の将来設計について改めて話す機会が少なかったとしても、
心の奥底では、妻は夫の未来についていつも気にかけているのです。

応援したい。でも、本当に大丈夫?

妻も悩んでいる!

夫の現在の勤め先に不満足

妻にとっての3大ポイントは「年収アップ、職場環境、安定性」

妻は年収に次いで、
“家庭の充実度”を重視

はたして妻は、夫の転職に何を求めているのでしょうか。トップの理由「給料のよさ」に次いで多かったのが、「家族の時間が持てる」でした。やりがい、人間関係など、夫の仕事環境を案じながらも、それ以上に家族が一緒に過ごす“家庭の充実度”も重視しているのです。

このようなアンケートの多様な回答を見て、「転職する時、妻と意見が衝突してしまうのでは……」と心細くなった男性もいるに違いありません。

「家族の時間」が欲しい

たとえ夫の選択が妻の
希望に合わなくても…

でも、ご安心ください。夫婦で転職先の希望が合わない場合、夫の希望を尊重するという妻はなんと8割にも上りました。回答には「夫の精神面を最も考慮」「一度きりの人生。自分が思ったところに就職してほしい」などの心温まる言葉が……。とはいえ、中には「でも、本心は辞めて欲しくない」いう声もちらほら。

夫の選択を尊重する

夫の転職を支える、妻たちの本音

  • 給料も上がらないし、転職賛成。
    ボーナスもないので将来が不安

    (夫20代後半・転職経験なし、専業主婦)

  • 一度きりの人生。自分が
    思ったところに就職してほしい

    (夫20代後半・転職経験2回、妻は正社員)

  • 夫の精神面を最も考慮。
    でも本心は辞めてほしくはない

    (夫30代前半・転職経験4回、専業主婦)

  • 旦那様のやりたい仕事を重視したい。
    やっぱり人間関係が重要みたい

    (夫30代後半・転職経験なし、妻は派遣など)

不安はあるけれど、夫の転職を応援したい。
そんな健気な気持ちを、多くの妻が持っているようです。

両立できる?

やりがいアップ

家族の幸せ

妻が笑顔になる転職、不安になる転職

アンケート結果から浮かんできたのは、夫の転職に理解を示しながらも、不安を拭いきれない妻たちの姿です。いくら夫自身が満足したとしても、生涯のパートナーである妻が不安を抱えている限り、その転職は成功したとは言えません。
転職中も、転職後も、ずっと続く長い人生を共にする妻。かけがえのない笑顔を失うことなく、さらに幸せな毎日を送るためには、夫たちはどんな転職活動をするべきなのでしょうか。

脳科学が証明する“妻バイアス”とは何か

まずは、男女の意識がいかに異なるかを知っておきましょう。ノーベル賞受賞者でもある神経生理学者のJ・エックルスは、こう述べました。「男性は根気強いため、自分の仕事に専念し、他のことに目を向けない性格がある」。
この傾向は脳科学的にも説明できるようです。右脳と左脳は脳梁という神経線維の束でつながれており、女性の脳は男性よりも20%太い。そのため左右の連携がよく、複数の仕事もいっぺんにこなせる、マルチタスクに適した脳になっています。

対して男性の脳は脳梁が細く、ひとつのことにのめりこんでしまう、モノタスク型。脳科学者の茂木健一郎さんは、これらの特徴から男性脳を「オタク脳」と表現しました。転職する際、男性が「これがやりたいんだ!」と決めたら一直線になるのに対して、女性はさまざまな角度から検討するのかもしれません。

一方で、男性の脳は前頭葉が発達していて論理的ですが、女性の脳は情動性の領域が活性化しているため、エモーショナル。ロジックを重ねて結論に至る男性に対し、女性は感情が先にあってその後付けとしてロジックがついてくるという説もあります。そして女性の脳は、安心感の源になる物質・セロトニンの脳内合成能力が男性の約半分しかなく、男性よりも不安になりやすい傾向があるそうです。

つまり、夫が論理的&楽観的に「こういう理由があるから転職はうまくいくよ」と説明しても、妻が一回不安になってしまったら、その後は手ごわい展開が予想されるということ。ある心理学者は、こんな警告をしています。
「男性が論点整理をして問題解決に向かおうとするのは、女性にとっては自分への敵対行為のようなもの。自己を否定された気分になって、激しく怒りだすだろう」。
さらに女性は感情に基づく記憶力が豊かなため、一度火がついてしまえば、「そういえば、あなたはいつも勝手だった……」と炎が一気に広がりかねません。
男女間の特性の違いを見るに、転職には幾重もの“妻バイアス”がかかっていると言ってもよいでしょう。これを解決しないことには、円満な転職は望むべくもありません。

反論を挟まず、ひたすら耳を傾ける、がベスト

それでは一体どうすればいいか――。感性分析に詳しい黒川伊保子さんは、著書『キレる女 懲りない男』の中で、女性脳の取扱説明書として「とにかく、話を聞く」を挙げています。いわく、共感をキーファクターにして知恵を深めるのが女性脳であって、女性にとっての会話とは、「互いに自分の気持ちや体験を喋り散らし、『わかる、わかる』と共感し合うこと」。だから話が長くても、まとまりがなくても、反論を挟まず、ひたすら耳を傾けるのがベストなのだと主張します。

あなたが転職を決めた時、なぜその結論に至ったか、はたしてうまくいきそうなのか、自分の考えていることを妻に伝えなければいけません。しかしその前にするべきことは、まず妻の気持ちに耳を傾けることなのです。

もしかすると夫とは別の未来を思い描いてる可能性もあります。でも思い出してください。妻の8割が夫の希望を尊重しようとしていることを。もちろん「俺は行きたい道を行くから、おまえもついて来い」の時代遅れの姿勢では、2人の心の距離は離れていくだけでしょう。ひとまず妻の思いや戸惑いを共有する。それが夫婦関係円満で転職するスタート地点になるはずです。

さて夫の転職後、妻はどんな気持ちになるのでしょうか。満足しているのは36%、「変わらない」「わからない」と回答したのは約半数でした。この半数を「満足」に引き上げるのは今後の頑張り次第ですが、少しでも「満足」に近づけるためには、まずはスタートダッシュを失敗しないよう気をつけること。そして夫婦そろって笑顔になる、バラ色の転職を目指しましょう。

生活満足度アップあるいは現状維持

正しいスタートダッシュで、バラ色の転職を

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